最近よく聞く熟成肉、
その名に“熟成”とつくとワンランク上の上質で芳醇な味の、
ワインとよく合う大人の食べ物という感じがします。
そんな、熟成肉の世界をご紹介します。
腐っているのではない?
熟成させておいしいものと言えば
ワインやチーズ、泡盛、梅酒、お醤油などがありますが、
肉を熟成させるとはどういうことでしょうか。
単純に考えると腐らせることのようですが、
どう考えても腐った肉はおいしくないどころか
食中毒の心配もあり、食べられたものではありませんね。
熟成肉とは低温で腐らせないように一定期間熟成させた肉を指し
熟成方法は一般的に2種類あります。
・ドライエイジング
大きな部位のまま、温度1℃~3℃、湿度60%~80%で保管します。
表面が乾いてカビができたら出来上がりです。
熟成期間は早くて2日、長ければ2か月ほどです。
イメージとしてはブルーチーズのお肉版です。
ドライエイジングで熟成した肉は、
カビの部分をそぎ取ると、
中から食べることのできるお肉の部分が出てきます。
そぎ取る部分があるため、
もとのお肉の60%くらいしか食べることができません。
・ウェットエイジング
肉が乾かないようにした状態での熟成方法です。
布で巻いたり、真空パックなどの状態のまま、
0℃~2℃の低温で熟成させます。
家庭用の冷蔵庫でも作れるため、手軽なのですが
肉のドリップが多く出てしまうなどのデメリットもあります。
ドライエイジングでは温度管理などの手間もかかり、
食べる部分も減ってしまうため
日本ではいわゆるウェットエイジングの熟成肉が
多く流通しています。
おいしさだけでなく栄養価もUP
どうして熟成させると肉がおいしくなるのでしょうか?
ドライエイジングの場合ですが
熟成の過程で肉の持つ酵素によって
たんぱく質が分解され、アミノ酸へと変化することで
うま味が増し、肉質も柔らかくなります。
元気の元のアスパラギン酸とコラーゲンの主成分のプロリンも増加し
おいしいだけでなく美肌効果も期待できます。
しかし、ウェットエイジングの場合は
どうしても肉のドリップが出てしまい
肉質が柔らかくなるだけで、栄養価も味も落ちてしまうようです。
本当においしい熟成肉を食べるなら
ドライエイジングのものを出してくれるお店をおすすめします。
まとめ
うま味も増して肉質も柔らかく栄養価もUPの熟成肉。
良いことずくめとはまさにこのことだと思いますが、
注意したい点もあります。
まず、そもそも“熟成肉”の定義、
製造方法や熟成度合いなど
はっきりとした基準はまだ日本には存在しません。
それぞれのお店がそれぞれの基準の熟成肉を
お客に提供しているのが現実です。
ですから、免疫力の高い大人であれば問題がなくても、
免疫力の低い子供を連れて行くときには
カビの除去が不十分だったり、食中毒の危険もあるため
子供の体調を十分に考慮するなど、注意を欠かさないようにしてください。
“食べ物は腐る直前が一番おいしい”と言われますが、本当だと思います!
コメント